ヴァナ・ディールの詩

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時計塔と青年

街と共に、歴史を、時を刻み、人々を見守ってきた時計塔が、今、取り壊されようとしている。
もっと実用的なモノに造りかえれば、街はさらに豊かに…理屈は分かる、しかし…。
それが、この街で暮らす、多くの人々の心をも豊かにする事につながるだろうか?

あんたの街のシンボルが無くなる事を考えてみてくれ。それはきっと、寂しい事じゃないか?
その存在に、時として救われ、癒されていた。目には見えなくても、皆がそう感じていたのさ。

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天昌堂では、一部のオークが所有すると言われる黄金マスクを仕入れているという。
これ、分解すりゃインゴットにできるんだよな。黄金と油を交換とは…あこぎな商売だぜ。

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「ほほう、なかなかやるじゃないか。よし、じゃあ約束どおり交換してやろう」
支払いさえちゃんとすれば、それに見合った品が手に入るのが天昌堂の良いところだ。
「しかしその油、時計塔の整備に使うんだろ?早く届けんと、必要なくなるかもしれんぞ…」
どういうこった?…その疑問は、すぐに解かれるコトになる。

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「時計塔は壊して、海からの物資を運び上げるクレーンを建てることになったんだとさ…」
時計塔の整備士、ガルムートは、自暴自棄になっていた。何とか…ならないのか?

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「時計塔なくなっちゃうの?だからガルムート兄ちゃんももう来ないの?」
少女の言葉が胸に響く。時計塔では、前任の爺さん、ナリヒラが整備を行っていた。
「このまま時計塔が取り壊されれば、ガルムートはダメになってしまうじゃろうな…」
あいつだけじゃないぜ…爺さんも、この子も、街の人達皆が時計塔を愛してるんだ…。
「街の人達皆…そうか!署名を集めれば…いけるかもしれんのう」「何々!?お爺ちゃん!」

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ジュノでは嘆願書に署名を集めれば議会の決定をくつがえすことが出来るらしい。  
オレ達は手分けして、ジュノを走り回った。その甲斐あって、多くの署名が集まった。
医者の先生をはじめとして、名士の署名もある。皆が、時計塔を必要としている…。

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そして…やる気を取り戻した彼は、今日も時計塔の整備をしている。
安心した爺さんは完全に隠居し、少女は相変わらず遊びに来る。
そんないつもの風景が、何よりも大切な事…かけがえのない日常を、彼は守り続けるだろう。
ジュノの街に、澄んだ鐘の音が、雄雄しく、そして、優しく響いていた…。

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