ヴァナ・ディールの詩

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秘めたる想い

『タブナジア群島』
クォン大陸の西方に位置する群島で、滅亡したタブナジア侯国の旧領にあたる。
かつて、この辺りは半島であったが、大戦末期、大陸と分断され、現在の群島になった。
交易で栄えた都市も、その時に廃墟と化し、今や往時の面影すらない。
全島を獣人軍の残党が掌握しており、生き残っている人間はいないと思われていたが…。

タブナジアへ辿り着いた、余所者であるオレは、住人の信頼を得るため奔走する事となる…。

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「ああ、どうしましょう…困ったわ。いったいどこでなくしたのかしら…」
見物がてら、あてもなく地下壕を歩いていると、慌てた様子の女性が目に入った。
「あら?あなたは確か…どざえもんさん?」
行き倒れてはいたが、それは名前じゃねぇ!あのタルタル達が言いふらしたのか…。
「そうだわ、あなた冒険者なのでしょう?探し物は得意だと聞いたんですけど…」

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まだ不慣れなタブナジア地下壕を探し回る。荷物置き場の隅に、髪飾りが落ちていた。
見た感じ、かなり高価そうだ。亡くなった友人の形見だと言ってたな…持っていってやろう。

Are110906065701a.jpg
「ありがとうございます!これで、安心して私…」
彼女は、20年前の戦場で友人とはぐれ、そのまま…それをずっと気に已んでいたそうだ。
「友人の夫である彼が、生きて帰って来た時は、会わせる顔がありませんでした、でも…」

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「あいつは優しいやつだろう?怪我で死にかけていた俺を、寝ずに看病してくれたらしい」
夫は記憶を失い、20年の歳月が流れた。今更…伝えない方が、幸せじゃないだろうか。
「お前…エリシアから伝言を頼まれたって?それを聞く前に、ひとつおとぎ話をしよう」
昔、大事な宝物を持った若者がいた。そして、若者には、信頼できる友人がいた。
「ある時、若者は友人に宝物を預け、旅立たなくてはならなかった。その際…」
過去を語る彼の表情は穏やかだった。全てを知り、全てを許した男の顔が、そこにあった。

「だから、若者は永遠にその記憶を失ったのさ…で、お前さんの伝言は何だって?」
あ、あぁ…今日の夕食は特製のシチューだから、早く帰って来いってさ。それだけだ…。
「そいつはいい!エリシアのシチューは最高なんだ」
20年前の傷跡は今も残っている。しかし、それでも力強く生きる人達が、そこにはいた。
「お前も晩飯まだなら一緒にどうだ?どうせ宿無しだろ?いいから遠慮すんなって!」
これからも、彼は、彼女を見守っていくのだろう。今度は、失う事のないよう、永遠に…。

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