ヴァナ・ディールの詩

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

愛する君達へ

子供が、妻が、夫が、行方不明になり、生死も定かではない。
それ程珍しい話ではないが、近しい者にとっては、深刻な状況だろう。

娘を失った夫婦は、悲しみのあまり、自分達の時間をも止めてしまっていた…。

Are110914072414a.jpg
「見かけない方ですね。あなたは、どちらからいらしたのですか?」
状況を話すと、彼は納得したように頷き、自分は細工師をしている、と名乗った。
「しかし…細工の腕など、今ここでは何の役にも立たない…あの時も…」
5年前、彼の目の前で娘がモンスターにさらわれた。その後の行方は全く分からない、か。
「生きてタブナジアへ辿り着いた、あなたを見込んでお願いします。どうか娘の消息を…」
娘の手がかりは彼の妻と揃いの腕輪だけ…あまり期待されても困るが…やってみるか。

Are110914072541a.jpg
「この腕輪ですか?これは夫の作ったものですわ。彼は細工師の才能だけは秀でていて…」
腕輪には、見事な細工で、見た事のない植物が描かれていた。この辺に生えてるのかい?
「分かりません…きっと、夫の想像上の物ではないのかしら?だって…何の手がかりにも…」
そうか…実在しない植物なら、確かに手がかりにはならないな…どうするか。

Are110914072806a.jpg
「あなた、フレッシェクとラミーネにお会いになったんでしょう?」
捜索のため、一旦地下壕の外へ向かおうとしていたところで、老婆が声をかけてきた。
「ラミーネは、一人の時はいつもあの腕輪を眺めているんです…思い出してしまうのでしょう」
剣の腕に長ける彼女は、自ら娘を捜索した、しかし…その植物は見つからなかったそうだ。

Are110914073537b.jpg
見張りに断ってルフェーゼ野に出ると、オレはあてもなく周囲を歩き回った。
美しい湖面の傍に、ひっそりと佇む様に咲く花、これは…ひょっとしてあの腕輪の…?
その近くには小さな腕輪が落ちていた。間違えようも無く、ラミーネと同じ腕輪だった…。

Are110914074453f.jpg
「これは…!そう…か…娘は…」
そう言うと、彼は暫く沈黙した。覚悟はしていても、やはり…辛いのだろう。
「この飾りの植物は、ほとんど知られていないのですが、実際にあるのです」
そうか…あんたの娘はその日それを見たいと言って…
「娘の笑顔を忘れる事はできません…でも…これで…あの子も安らかに」
そうだな…きっと今も笑顔であんた達を見てるさ…。

Are110914074824a.jpg
「あの植物にはね、悲しい事があると枯れてしまう、という言い伝えがあるのですよ」
だからラミーネが探しても見つからなかったのだろう。そう老婆は語った。

大切なモノを失っても、それでも人は生きる事をやめるワケにはいかない。
この町の人間は、皆それを知っている…だが、だからこそ過去に囚われてしまうのか…。
過去に縛られていては前に進めない…しかし、過去なくして、前に進む事もできない。
「あの植物が見つかったのは、あの子が両親に何かを伝えるためだったのかもしれません」
辛い過去を乗り越え、止まっていた夫婦の時間が少しづつ変化していけばいい…そう願おう。

PageTop
 

コメントコメント


管理者にだけ表示を許可する
 

 
 

トラックバックトラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。