ヴァナ・ディールの詩

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螺旋

『モンブロー』
ジュノ上層で医師をしているエルヴァーン男性。優しい人柄で住民達に慕われている。
ヴァナ・ディールでは珍しく、白魔法ではなく「医術」によって人々を治療する。
ジュノ親衛隊の隊長を務めているウォルフガングとは旧知の仲。

「前にも言わなかったかい。病気に国境はないって。医者と患者がいるだけさ」

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セルテウスの情報を求め、ジュノ大公宮を訪れたテンゼン。
しかし、大公カムラナートの名代、エシャンタールの対応は、丁重ではあるものの、彼が納得できるものではなかった。
「それは機密事項なうえに、ジュノは今、バハムートへの対策で手一杯なのです」
ならばこそ我輩が、と息巻くテンゼンだったが、ジュノに任せて欲しい。の一点張りでは、引き下がるしかなかった。

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「ジュノ戦闘艇隊には秘密兵器が…」「なんでもあの機関が技術の粋を集め…」
エシャンタールの言った事は本当だった。衛兵詰所では、バハムート討伐の準備が進められていた。
このままバハムートを放置すれば、人間は滅亡する。それはテンゼンとて分かっていた。
しかし、いかに最新の戦闘用飛空艇があったとしても、真竜に立ち向かえるものだろうか。
よしんば勝利できたとしても、甚大な被害が出るのは間違いのない事だった。
「何とかバハムートを説得する材料を揃えねばならんでござる。そのためには…」
想いが口をついて出ていた。ジュノ側が情報を隠すのであれば、独自に調べるしかない。
テンゼンは、セルテウスが一時運び込まれていたという、モンブロー医院へ向うのだった。

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「邪魔するでござる、薬師の方」「おや、あなたは武士の方」
ジュノの事、バハムートの事、世界の終わりを避けたいと真摯に語るテンゼン。
その訴えに、口止めされていたモンブローも、心を動かされずにはいられなかった。
「デルクフの塔内部の北側に、地下へ降りる階段があるのです。そしてその先には…」
階段を下りた部屋の中央に、あの少年は突然現れたらしい、とモンブローは言った。
「かたじけないでござる!」礼を言い、飛び出そうとするテンゼンを、モンブローが制した。
少年が現れた際は、事故のため開いたが、現在地下への扉は閉ざされているというのだ。
「扉を開く方法、私からウォルフガングに尋ねてみましょう。1日だけ待って頂けませんか」
テンゼンとて、無駄足を踏みたくはない。逸る気持ちを抑えつつ、頷くしかなかった。

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翌日、テンゼンは、ジュノ上層から続く、ヘブンズブリッジを歩いていた。
モンブローが指定したのは、橋の終点、バタリア丘陵に出てすぐの場所だった。
何故そんな所に?疑問を感じつつ橋を渡った彼の前に現れたのは、意外な人物だった。
「お前は、東の…」「お主は、親衛隊長殿…」
同時に声をあげる。互いに唖然とするなか、ウォルフガングが再び口を開いた。
「昔、ジュノに二人の幼馴染の少年がいてな、いつも一緒に遊んでいた」
唐突な昔語りだったが、何故かテンゼンは、口を挟む事ができなかった。
ウォルフガングが、かつてない程に、穏やかで、迷いのない表情だったせいかもしれない。
「そしてそんなある日、少年の一人がこう言ったんだ…」

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「ガラスを通さなくても、ジュノはとてもキレイに見えるよ」「モンブロー…」
ウォルフガングの言葉に答えたモンブローは、柔らかに微笑んだ。
何の変哲もないガラスは、二人の少年にとって宝物だった。年月を経ても、それは変わらなかったのだろう。
いや、年月を経た今だからこそ、少年は思い出したのかもしれない。守るべき本当の宝物を。
「俺は、またガラスをここに埋めに来たんだ。いつの間にか自分が持っていた、な」
全てを語り終えたのか、穏やかな表情のまま、ウォルフガングは歩き出す。

「ウォルフ、本当に変わってませんね…やっぱり。安心しました…テンゼンさん?」
テンゼンに答える余裕はなかった。何故なら、涙を堪える作業で精一杯だったからだ。
武士は人前で涙を見せぬもの。しかし、熱い友情に、彼の涙腺は限界寸前なのだった。
「あそこを掘ってみるといいでしょう。きっとあなたに必要な物が埋められています」
そう言うと、テンゼンの様子から察したのか、モンブローもジュノへと歩き出した。
その後のテンゼンの様子は、語らないでおこう。これも、武士の情けである。

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