ヴァナ・ディールの詩

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デルタを狩る者

『タブナジアの魔石』
かつてタブナジアにあったとされる魔晶石。ミルドリオン枢機卿によって封印された。
西国の富豪の中にはこの魔石を買い取ろうと大金を積んだ者もいるらしい。
しかし、20年前のクリスタル大戦でタブナジアが滅んだ時に行方不明になっている。

スカリーYと共に、アットワ地溝へ向うというプリッシュ。
何故彼女は、今になって、タブナジアの魔石を探し求めるのか。
友の真意と、真実を明らかにするため、ウルミアも、二人と行動を共にするのだった。

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一歩間違えれば、底の見えない渓谷へ落下しかねない程の細い足場を、プリッシュとスカリーYは苦もなく進んで行く。
二人に着いて行くだけで精一杯のウルミアだったが、時折、プリッシュが珍しい生き物を追い回したり、プリッシュが毒花に不用意に近づき花粉を吸い込んだり、と足を止めるおかげで、何とか遅れずにすんでいた。
「もうすぐ千骸谷に着く、遊んでないでさっさと行くわヨ」
若干の苛立ちを滲ませた声で、スカリーYが急かす。
道中、彼女が言っていた、魔晶石に詳しい人物とは何者なのだろうか。
「おーわりぃわりぃ、今行くぜー」
ウルミアが不安を募らせるなか、相変わらず、プリッシュは能天気だった。

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「そうか、ミルドリオンのヤツめ、やはり地下壕にもいなかったか」
報告するスカリーXを前に、罪狩り3姉妹の長女である、スカリーZは思案していた。
真竜ティアマットと、ここ千骸谷で幾度か戦闘を繰り返したが、未だ従えるには至らない。
竜王バハムートへの道は一旦あきらめ、自分も枢機卿の行方を捜索するべきだろうか。
「その件は任せて。プリッシュとかいう神学生が、ミルドリオンの居場所を知ってるはず」
姉の考えを察したのか、スカリーXは、自分の仕事だと主張する。
今回が初仕事であるため、張り切っているのだろう。
「もう居場所の見当はついてるんだ、これからすぐに行って来るよ!」
返事を待たず、走り出した彼女の前に現れたのは、もう一人の姉と、当の神学生だった。

「遅いわネエ、これだからボクちゃんは仕事が遅いって言われるのよ?」「なにおお!?」
妹達のやり取りを余所に、スカリーZは言葉を失っていた。
スカリーYが連れて来たエルヴァーンの少女、その姿に見覚えがあったからだ。
見覚えがあるだけならばいい、問題は、その姿が、20年前と全く変わっていない事だった。
「元気そーで何よりだぜ、罪狩りさん。あんときは世話になったなー」
少女が口を開く、スカリーZの脳裏に、20年前のタブナジアでの光景が蘇った。
その声、その口調、その仕草、ミルドリオンと共に、大聖堂にいた女だと確信できた。
「わざわざ出向いて来てくれるとは…後ろにいるのは『神の歌』の歌い手だな?」
スカリーZは、プリッシュとウルミアを交互に睨みつけながら、質問を繰り替えす。
しかし、そもそも20年前の事を知らず、答えられないウルミアと、のらりくらりと答えをかわすプリッシュの態度に、罪狩り達は業を煮やした。

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「答える気がないのならば、今ここで、お前達の罪を狩らせてもらおう!」
「下がってな!ウルミア!!」スカリーZが武器を構えると同時に、プリッシュが地を蹴った。
その足を止めるべくなぎ払われたランスを、高く跳躍してかわしたプリッシュの標的は、スカリーZではなかった。
「ふにゃあ…」「アラァン…使えないボクちゃんネエ」
プリッシュの強烈な蹴りをまともに受け、岩に叩きつけられたスカリーXは一撃で昏倒した。
「さー次はどっちだ!まとめてかかってきてもいいんだぜ!!」
呆気にとられていたウルミアだったが、慌てて竪琴を取り出し、呪歌を奏でる。
自分にはプリッシュの様に戦う力はないが、援護をする事はできる。
歌によって、仲間の潜在能力を引き出し、敵を弱体化する。それが、ウルミアの力だった。
ウルミア自身は気付いていなかったが、高い呪歌の才能を秘めていたからこそ、ミルドリオン枢機卿は、彼女を『石の記憶』の歌い手に選んだのだろう。
「邪魔するンなら、アンタからやっちゃうわヨ!」「そうはさせねぇぜ!」
ウルミアに漆黒の鎌が振り下ろされようとした刹那、スカリーZが呼び出した飛竜がスカリーYを襲った。
「ちょっと姉貴!何やってんのヨ!?」
咄嗟に身体を捻って飛竜を避けたスカリーYだが、予想外の事態に、一瞬の戸惑いが生まれる。呪歌によって身体能力を強化されたプリッシュを相手に、その一瞬が命取りになった。
「ま、負けるなんてェ、死んだ方がマシ……ィイイイ!」
スカリーYの鳩尾に打ち込まれ、鎧を貫いた拳の衝撃は、彼女が膝を折るのには充分だった。最後の力を振り絞って放たれた鎌の一撃を軽く避け、プリッシュはスカリーZに向き直る。
「貴様…私の飛竜を投げるとは…!」「わりぃな、でもお前達には、俺は殺れねぇよ」

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「お前達も、ヴァナ・ディールを、人を、救いたいと思ってんだろ?それは俺達も同じさ」
そのために男神を復活させる必要がある。そう言ったプリッシュの表情は決意に満ちていた。
ウルミアは知っている。プリッシュがこうなった時、誰も彼女を止める事はできない。
「後でいくらでも罪は償ってやる!だから教えてもらうぜ、タブナジアの魔石のありかを」
言われて素直に教えるスカリーZではないだろう、プリッシュも、最初から直接聞くつもりはない。質問したのは、彼女の意識に対して、だった。
「ぐっ…何だ、これは?」「あ、姉貴?どうしたの!?今なら…」
槍を構えたスカリーZの前で、プリッシュは、棒立ちのまま目を閉じた。
しかし、隙だらけに見える彼女に、スカリーZは、攻撃を加える事ができなかった。
それは、チョコボに乗りなれない者が感じる、チョコボ酔い、に似ていた。
それに加え、意識の奥を探られている様な感覚、スカリーZは、立っている事ができず、たまらず膝を着いた。
「…20年前の戦争の時、獣人達は、あれをあんな遠くまで運んで行ったのか!」
いつの間にか目を開けたプリッシュは、そう言ったと同時に走り出す。
「く…待て!」「プリッシュ!どこへ!?」
ウルミアの呼びかけも意に介さず、プリッシュは走った。魔晶石を取り戻すために。
「追うぞ、立て、お前達!神の歌の歌い手、一緒に来てもらおう!!」
自分自身をも叱咤しながら、スカリーZは立ち上がった。プリッシュが自分の意識を探ったのだとすれば、行き先は分かっていた。
ザルカバードのさらに北方、極寒の地で、魔石を廻る戦いが繰り広げられようとしていた。

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