ヴァナ・ディールの詩

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眩き石の御許にて

激しい衝撃と、眼を開く事さえ困難な閃光の中、飛空艇は全速で戦闘区域を離脱する。
「緊急着陸します!皆さん、何かに摑まって下さい!」「あわわわ、おちるぅ~!」
操縦席から叫ぶルーヴランスに従い、タルタルの兄妹は、一番近くにあったものに摑まった。
そう、オレの身体に…ッ!これじゃ身動きが…お前離れ…うわぁあああああぁぁぁぁぁ………。

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まず最初に眼に飛び込んできたのは、真っ暗な空だった。天国じゃなさそうだ。
痛む身体を何とか起こすと、どうやらここはルフェーゼ野のようだった。
地下壕までは多少距離がある場所だな。途中で飛空艇から振り落とされたのか。
皆は無事だろうか?歩き出そうとした時、前方に3人のタルタルが倒れているのが見えた。
「おいらたち、生きてる?」「生きてるね?」「あっ、おまえはっ!」
チェブキー兄妹は、起き上がるやいなや、地下壕の方角へ駆け出していった。
介抱してやったのに失敬なヤツらだ…バハムートの怒りは、オレのせいなんだろうか。

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「俺達の方は皆無事だぜ?いやぁ、さすがに今回はおダブツだって思ったけどな!?」
地下壕で出迎えてくれたプリッシュは、相変わらず元気そうで、皆の無事を喜んでいた。
「テンゼンのおかげで、バハムートも暫くおとなしいはずさ。コウチャク状態ってやつだな」
あの時、鳳凰丸から、全ての、まるで命が燃え尽きる程の力が流れ出した様に感じた。
「テンゼンの事も気になるけど、お前が生きてて良かったよ。ウルミアも心配してたぜ!」

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「無事だったのですね!良かった!私、あの後気を失ってしまっていて…」
遠ざかる意識の中、ウルミアは、バハムートの咆哮と、物悲しい囁きを聞いたと言った。
「あれは、フェニックスの最後の声だったと。テンゼンさん、大丈夫でしょうか…」
霊獣の中で、フェニックスだけは、テンゼンと共に、常に人間を導く存在で在り続けた。
それを失った侍の心中は、想像する事すら、躊躇われる程の痛みだろう。
「俺も心配なんだけどよ、ござるのおっちゃん、心を閉ざしちまってんだ」
プリッシュの心の声すらも届かない暗闇で、テンゼン、お前は何を考えている?

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「お元気そうで何よりです…テンゼン殿とは、もう話されましたか?」
ルーヴランスの責める様な口調は、バハムートを怒らせたのはお前だ、と暗に言っていた。
「彼は、国宝にも値する刀を投げうち、私達の命を救って下さった。しかし、その傷心は…」
意識していなかったとはいえ、竜王の怒りがオレのせいだとしたら…合わせる顔もない。

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「プリッシュの言ったとおり、無事だったようだな」「ケガ、ないか…?平気か…?」
スカリーY、ジャボス、全員無事だった。あと顔を見ていないのは、テンゼンだけだ。
「テンゼン…無事…でも…きっと…心…ケガしてる…身体の…ケガより…ずっと…重い」
口下手なジャボスが、珍しく多弁だった。それだけテンゼンを心配しているのだろう。
言葉を失った人間達の耳には、海獅子の洞窟に響く、波の音だけが響いていた。
それは、多くの命と共に母なるクリスタルへ還った、霊獣への鎮魂歌だったのかもしれない。

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