ヴァナ・ディールの詩

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冤罪

『クフィム島』
洞窟と、氷で覆われた荒野が広がる。
昼、晴れた時を除いて全体的に薄暗くじめっとした印象のある場所である。
様々な天候条件が重なった時、稀に見られるオーロラは美しく、一見の価値がある。

今回はオーロラを見る事はできなかったけど、別の珍しいモノを見る事になっちまった。

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「まったく、あの子はいったいどういうつもりだったんだ…なんだって私の釣竿を…」
ジュノ下層ベリンダ通り、独り言を呟きながら歩くおっさんに、オレはつい声をかけちまった。
「何だ君は!?私はもう釣りなどやらんぞ!竿を騙し取られてしまったんだからな。大体…」
おっさんは、興奮している様子で、エルヴァーンの女の子に釣り竿を取られたと言った。
「私がイーグレットの釣竿を持っていると知っていたのもおかしい。詐欺に違いない!」
根拠を説明しても信じられないだろうけど、その子はウソをついてはいないと思うぜ。
「私がせっかく詐欺の恐ろしさを忠告してあげているというのに、聞く耳持たずですか!」

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数時間後、オレは釣り道具一式を揃え、クフィム島へやって来ていた。
その子は、ここで釣りをした際に釣竿をなくしたという。証拠として探して来いってワケだ。
正直尻拭いをさせられてる感は否めないが、おっさんに言い負かされるのも気分が悪い。
竿は大物狙いの複合竿だ。エサを仕掛け、釣り糸を切り立った断崖から垂らす。

Are120127163534a.jpg
間もなく重い手ごたえが竿を通して伝わってきた。当たりか?強引に、力任せに釣り上げる。
そう、今回の狙いは魚ではなく、このモンスターだった。
魚を釣り上げたものの、同時にかかっていたモンスターに釣竿を持って行かれた。
その証言を証明するために、悪りぃけど、切り刻んで刺身にさせてもらうぜっ!

Are120127164557a.jpg
「これは…折れてはいますが、確かに私の釣竿…あの子の言った事は本当だったのか…」
おっさんは放心した様子で、釣竿を見つめていた。納得したか?じゃあオレはもう行くぜ。
「待って下さい!何故あの子はわざわざ私のために伝説魚を釣りに行ったのですか!?」
彼は、釣り仲間に自分の腕を証明するため、幻の魚、三眼魚を釣り上げたかった。
しかし、クフィム島には凶悪なモンスターが蔓延り、一般人では釣りすらも命がけとなる。
「あなたもです。あの子のために苦労してこの釣竿を探して来たのでしょう?一体何故…」
…あんたはモンスターがいる事を理由に、最初からその魚を釣るのをあきらめていたろう?
「と、当然じゃないですか!釣りに命をかけるなんて、愚か者のする事ですよ!」
命をかけろと言ってるんじゃない。何の努力もせず、できないと言い訳をするなって事さ。
「そんな…あの子は、見ず知らずの私に、ただそれだけの事を教えるために…?」
そう言うと、彼はまた釣竿を見つめ、次に海を見つめ、そのまま立ち尽くした。
呆然とするおっさんをその場に残し、ジュノの雑踏の中へ歩き出す。
絶対にあきらめない。彼女のその想いが、全ての人に伝わると良いな…。

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