ヴァナ・ディールの詩

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開門

『ザッハークの呪印』
アトルガン皇国の国旗に描かれる双頭蛇『ザッハーク』を模したタトゥー。
不滅隊隊員の身体には、例外なくその呪印が刻まれているという。

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雨季が終わり、辺民街区―通称白門、には焼ける様な日差しが降り注いでいた。
そして、その日差しを楽しんでいるかの様に、行きかう人々の表情は明るい。
戦火に疲弊したこの国では、空が青い、それだけでも喜ぶべき事なのかもしれない。
しかし、オレ自身は今、空の青さを楽しむ気にはなれなかった。
先日、エジワ蘿洞の探索を行った後から、どうも体調が優れない。しかも、いつの間にか、右の手の平に覚えの無い紋章が刻まれていた。
エジワ蘿洞で何かがあったのは間違いない。ただ、その記憶があやふやだった。
何とか白門へ戻って来たものの、ロクな報告もできず、依頼主にすら心配される始末だ。
今日くらいは蛮族の侵攻が無ければいいが…誰にとも知れず、呟いた時だった。

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「そこの方、どうしました?顔色が悪いですよ」
直射日光を避けるためだろうか、フードを被った男が、オレの顔を覗き込んでいた。
「傭兵の方でしょう?私の家はすぐそこですから、少し休んでいかれては?」
親切な男の申し出を丁重に断り、再び歩き出す。
「残念ですね、その手の呪印について、お話できるかと思いましたが」
男の言葉は、オレを振り返らせるには充分な効果があった。

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占い師を自称する男は、オレの手に刻まれた紋章を『ザッハークの呪印』と呼んだ。
そして、それについて知りたければ、不滅隊に尋ねろ、と。
オレは唯一面識のあった不滅隊の一員、ナリーマの下を訪れた。
「ああ、そんな…おねがい…なのに…変わるなんて…同じね…貴方と…あたしと…」
彼女の言動は相変わらず支離滅裂だったが、明らかに呪印に反応している。
「貴方に…アレをしなければ…それが…さだめ…でも…もしかしたら…」

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「さようなら…」
不意にナリーマは両腕を胸の前で交差させた。
その腕から、いや、交差された両腕の付近の空間から、不可視の力が撃ち出される。
咄嗟に顔を覆い、防御の態勢をとる…が、オレの身体には何の変化もなかった。
「無事…ね?よかった…でも…よくない…貴方は…やはり…もう…同じ、あたしと…」
問いかけようとするオレを、彼女は、哀しみを湛えた瞳で見つめていた。
互いにそれ以上の言葉は無い。だが、オレは彼女の手に刻まれた呪印を見た。
熱に浮かされた様だった身体も、いつの間にか正常に戻っている。
同じ…そう、彼女と同じ道へ、オレも足を踏み入れてしまったのかもしれない。
「消えて……おねがい……もう…消えて…」
蒼い蛇の鎖に囚われた者達は、運命を憂い、暫し、その場を動く事ができなかった。

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